インプラント持病(全身疾患)に関するQ&A
- Q. インプラントは持病(全身疾患)があっても受けられますか?
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A. 多くの場合可能ですが、状態によっては受けられない場合もあります。インプラント治療は、歯茎を切開し、あごの骨にインプラントを埋め入れる、という外科手術が必要となる治療法です。そのため、全身疾患をお持ちの場合、インプラント手術が身体に大きな負担をかける恐れがあり、全身疾患の状態によってはインプラント治療が行えない場合もあります。ですが、病気が治療により良好にコントロールされている状況であれば、全身疾患をお持ちでもインプラントが可能になる場合も多くあります。健康状態に応じて、必要な場合にはかかりつけの主治医に連絡を取り、インプラント治療が可能かどうか、相談をしていきます。
- Q. インプラント治療が受けられない場合はどういったものですか?
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A. 重度の全身疾患や、受けている治療内容、服用中の薬などが対象になることがあります。インプラントが受けられない「禁忌症」とされているケースにはいくつかあります。一般的には、・重度の持病(全身疾患)
・頭部に放射線照射治療を受けた方
・抗ガン剤による治療を受けている方
・骨粗鬆症の薬(ビスフォスフォネート)を服用している方
・ヘビースモーカーの方
・薬物依存、アルコール依存症の方
・精神疾患といったものです。
持病(全身疾患)のある方は、お薬手帳の確認や、詳しい状況を知るために主治医への問い合わせを行います。また、必要に応じて各種検査を行います。お身体を守るためにも、問診時に全身状態や服薬状態について聞かれた場合には、正確にお答えいただくよう、お願いいたします。
- Q. 全身疾患があるので、手術が不安なのですが・・
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A. 静脈内鎮静法やガイデッドサージェリー(ノーベルガイド・エックスガイド)を併用することで、お身体への影響を少なくすることができます。全身疾患がある場合、手術の際に極度の不安や緊張を感じていると、血圧や脈拍の変動によるお身体への影響が、健康な方よりも懸念されます。当院では、そのような場合の対応策として、静脈内鎮静法と呼ばれるリラックス麻酔を行なっています。静脈内鎮静法を施すことにより、不安や恐怖を感じず、安定したリラックスした気分で、体調に変化を及ぼすことなく、手術を受けていただくことができます。当院では静脈内鎮静法を行う際、歯科麻酔専門医と生体情報モニターによる管理のもと、患者様の全身状態を常に監視しながら手術を進めていきますので、ご安心ください。
- Q. 高血圧のインプラント治療に関するリスクを教えてください。
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A. 血圧の上昇、合併症のリスクがあります。高血圧の場合、手術のストレスによる血圧上昇のリスク、また、脳出血、脳梗塞、心筋梗塞、狭心症、腎不全などの合併症のリスクが高まります。そのため、血圧が適切にコントロールされていない状態の場合には、高リスクとなりますので、インプラント手術を行うことはできません。ですが、治療を受けられてお薬で血圧がコントロールされれば、治療を受けていただくことが可能になります。歯医者が苦手な方、恐怖を感じやすい方には、血圧変動を防ぐため、歯茎に行う局部麻酔の前に気持ちを安定させることができる静脈内鎮静法をおすすめすることもあります。
- Q. 糖尿病のインプラント治療に関するリスクを教えてください。
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A. 感染のリスク、血糖値の変化に注意が必要です。糖尿病になると、細菌の侵入に対して抵抗力が弱くなってしまうため、傷口が感染しやすくなります。また、血液の循環が悪くなるので、傷口が治りにくくなります。ですが、抗生剤の服用など、感染対策を十分にしておけば、インプラント手術は可能です。ただし、糖尿病がきちんとコントロールができていない状態においては、インプラント手術時に感染を起こして、インプラントが骨とくっつかなくなることがあります。また、手術時のストレスにより、血糖値の変化が起こりやすく、高血糖や低血糖状態に陥ることがあるので、十分注意が必要です。また、糖尿病にかかっていると歯周病菌に感染しやすくなり、インプラント周囲炎を起こしてインプラントが長持ちしない可能性があります。
- Q. 心疾患のインプラント治療に関するリスクを教えてください。
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A. 発作、細菌感染、大量出血を起こすリスクがあります。心疾患といっても、心筋梗塞、狭心症、不整脈、心不全、心臓弁膜症、心筋症などと、さまざまな疾患があります。それゆえ、インプラント手術時に起こりうるリスクは、それぞれの状態によっても異なります。一般的に、心臓に問題がある場合、心臓発作のリスク、心内膜に感染を起こすリスク、血液をサラサラにする薬の影響で血が止まりにくくなるリスク、といったものがあります。心臓の病気を持っている方、心臓の薬を服用中の方、または過去に通院していたことのある方は、インプラント治療が受けられる状態なのかどうか、まずは主治医に確認を取ることが大事です。そして、その上で、リスクに対し十分な対策を講じればインプラント治療が可能になる場合もあります。
- Q. 脳梗塞のインプラント治療に関するリスクを教えてください。
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A. 血が止まりにくくなるリスクがあります。脳梗塞の方は血をサラサラにする薬を服用していることが多いため、そのままの状態で手術をすると、血が止まりにくくなるリスクがあります。ですが、かかりつけの主治医と相談の上、問題なく手術を行える場合がほとんどです。
- Q. 骨粗鬆症のインプラント治療に関するリスクを教えてください。
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A. 服用している薬の種類によってはリスクがあります。骨粗鬆症になると、骨密度は低下してしまいますが、インプラント治療への影響はほとんどないと言われており、インプラント治療は可能です。しかし、骨粗鬆症の薬としてビスフォスフォネート製剤をとっている場合、抜歯やインプラントなどの外科手術を行うと、骨が壊死するリスクがあると言われているので、注意が必要です。そのため、骨粗鬆症の方は、事前に薬の種類について主治医に相談・確認しておくことが大事です。お薬の種類によっては、もしくは薬を使用した時期によっては、問題なくインプラント治療が受けられることもあります。
- Q. 肝臓病のインプラント治療に関するリスクを教えてください。
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A. 止血しにくいリスク、肝機能低下のリスクがあります。肝硬変、重度の肝臓病の場合、インプラント手術に際して血が止まりにくくなるリスクがあります。また、手術前後に内服していただくお薬により、肝機能が低下するリスクがあります。その際、腎排泄性のお薬を選択することで手術が可能になることもあります。
- Q. 腎臓病のインプラント治療に関するリスクを教えてください。
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A. 免疫力低下のリスク、インプラントが結合しないリスクがあります。腎臓病をお持ちの場合(腎不全で透析治療をしている、重度の腎疾患である)、免疫力が低下していることで傷の治りが悪かったり、血が止まりにくかったりすることがあります。また、骨が脆弱な状態になることもあり、そのような場合には、インプラントと骨が結合しないこともあります。