インプラントは治療後が肝心!自宅で行なう毎日のセルフケアポイント
決して安いとは言えないお金を出して治療をしたインプラント。治療後に、「自宅でよく歯を磨いてください。」「定期的に歯科医院へ通ってください。」などと言われますが、なぜかというと、自宅でのセルフケアを間違えるとせっかくのインプラントがダメになってしまうからです。
定期的に歯科医院へ行き、検査をしてもらっても自宅での行いができていないとダメになってしまうこともあります。では、自宅でどのようなセルフケアを行ったら良いのかについてご紹介します。
歯科医院でもインプラント専用の清掃器具を使っている
定期的に検査に行く歯医者さんでも、インプラント専用で清掃器具や検査器具は用意してあります。インプラントの定期検査で見る項目は様々でインプラントのボルトが骨としっかり結合しているか、ボルトの周囲に炎症が起きていないか、インプラントが緩んでぐらぐらしていないか、被せ物が外れやすくなっていないか、などです。
骨とボルトの結合はエックス線撮影によって分かります。炎症が起きているときは骨とボルトの間に隙間ができるだけでなく、患者さんには自発痛が出るので容易に診断をつけることができます。
自発痛がなく骨が吸収されていく炎症もあり、そのときは歯と歯茎の間にある歯周ポケットを検査するときのようにインプラントと歯茎の間に隙間ができていないか検査をします。歯と歯茎のときは金属製の器具で検査をしますがインプラントに金属製の器具だと傷つけてしまうことがあるのでプラスチック製の柔らかい素材の材料でできた器具を使用します。
また、歯科医院のスタッフによる口の掃除をするときも、インプラントをしている患者さんには特別な器具を使用します。皆さんは歯石落としをしたことありますか?チクチクとした痛みが歯茎に伝わることもありますが、終わった後の爽快感はたまりませんよね。あの歯石とりと同じようなことをインプラントの歯に対しても掃除をするのですが、その時もプラスチック製の柔らかいものを使用します。
自宅でできるセルフケア
自宅でのセルフケアはインプラントの予後に大きく影響を及ぼします。まず生活習慣の改善を行うこともセルフケアの一環です。タバコを吸っている人はできるだけ禁煙をするようにしましょう。インプラントの予後に喫煙の有無が影響するという研究結果が出ています。インプラント手術後にボルトがうまく骨と結合しなくなる可能性もあるので喫煙をしている人はあらかじめ歯科医師へ相談をするようにしましょう。
そして、糖尿病を持病として持っている人もインプラントの予後が悪いという研究結果が出ています。歯科医師へその旨を伝えておくことも必要です。
一番大切なセルフケアは、丁寧で正確な清掃です。毎日歯科医院へ通う事は出来ないですし大変なので、できるだけ自分で歯を磨く時は正確にできることに越した事はありません。
インプラント以外の歯をいつも通りきれいに磨く事は当然ですが、インプラントの入っている歯については通常の歯ブラシよりも柔らかい毛先のものを使用するようにしましょう。
さらに、インプラントが奥歯に埋まっている時は、奥側が磨きにくいです。その奥だけを磨くためにタフトブラシというのも用意しましょう。タフトブラシは先が丸くなっていて、通常の歯ブラシよりもヘッド部分が小さいです。このタフトブラシは奥歯の奥側を磨くことに長けています。
また、歯間ブラシも併用することでインプラントと歯の間を磨くこともできます。通常の歯ブラシだけではプラークの除去率が60%程度だと言われています。実は、歯ブラシだけやっていてもあまり口の中は綺麗になっていないのです。
また歯磨き粉はできるだけ研磨剤が含まれていないものを使用するようにしましょう。研磨剤は歯の表面を細かく傷つけてしまいます。被せ物も少し傷つけてしまうとプラークが付着する表面積が増えてしまうのでプラークが付きやすくなってしまいます。研磨剤の入っていない歯磨き粉を選ぶようにしましょう。
また時間がないときには、デンタルフロスを使うことができないこともあるかと思います。そんな時は、マウスウォッシュを使用してもいいです。マウスウォッシュだけでも口の中は爽やかになるので、気分転換等には使えますがプラークの除去率は低いので必ずブラッシングもするようにしましょう。
セルフケアや定期検診を無視するとどうなるか
セルフケアをしないで放っておくとどうなるでしょうか。インプラントが不潔になると、炎症が起きます。これをインプラント周囲炎といい、インプラント周囲炎になるとインプラントを抜かなければいけなくなります。これは歯周病の原因菌が発生の要因になっているので歯周病に準じた治療が必要になります。顎の骨が溶け、インプラントがグラグラ揺れ出してしまい放っておくと抜けてしまいます。インプラントを埋めた後は清潔に保ち、定期的に歯科医院へ通うようにしましょう。そうでないとせっかくのインプラントが台無しになってしまうかもしれません。