本当に一生もの?セラミック製の歯の寿命は?
2018年05月20日 (日)
本当に一生もの?セラミック製の歯の寿命は?

虫歯の治療で詰め物(インレー)や被せ物(クラウン)をする前に、歯科医から「セラミック製の歯にしてみませんか」と提案された経験はありませんか?歯科医からセラミック歯の見本を見せられて、本物の歯と見まがうばかりの完成度の高さに、心が揺れた方もいるかと思います。
ただ、気になるのはセラミック歯の寿命ですよね。もし壊れたら、またつくり直さなければならないのは、銀歯と同じです。
多くの歯科医や患者さんたちから「銀歯より良い」と評価されているセラミック歯ですが、寿命はどれくらいあるのでしょうか。

セラミック歯の寿命

セラミック歯の寿命は、10年~20年と言われています。ただし、これはあくまで目安です。
10年未満で交換が必要になる場合もありますし、20年以上もつ場合もあります。
目安にすぎない上に、最短寿命と最長寿命の間には10年もの差があります。なぜこれほどまでにセラミック歯の寿命はあやふやなのでしょうか。
それは、セラミック歯の劣化・老化スピードが、使用状況によって大きく変化するからです。
10年~20年という数値も歯科医の見解によって異なり、ある歯科医は患者さんに「セラミック歯の寿命は7~10年」と答えていますし、「まれに4~5年で割れることもあります」と付け加える歯科医もいます。

ほかの歯の寿命
ほかの歯の寿命

では、そのほかの素材の詰め物・被せ物の寿命は、どれくらいなのでしょうか。
これも目安として押さえておいてください。

●銀歯:3~5年ほど
●レジン(プラスチック):5年ほど
●セラミック:10~20年ほど

このように並べると、セラミックの優秀さがご理解いただけると思います。

セラミック歯の寿命を縮めてしまう使い方

それでは、セラミック歯を少しでも長く使う方法を紹介します。
逆説的な言い方になってしまうのですが、セラミック歯の寿命を長くするには「寿命を縮める使い方をしないこと」に尽きます。
それでまずは、セラミック歯の寿命を短くしてしまう使い方を紹介します。

■噛み合わせの不具合が起きていると寿命を短くしてしまう
これは、すべての物質や素材に共通したことなのですが、「硬いものは割れやすい」「軟らかいものは割れにくい」という法則があります。セラミック歯はとても硬いものなので、割れやすいといえます。割れるときはパキッと割れてしまうからです。
ただ「割れやすい」といっても、通常の使い方をしている範囲では、まず割れることはありません。セラミック歯は、異常な力が加わらなければ20年もつことがあるくらい、「割れにくい」素材でできています。
それでも、セラミック歯を詰めたり被せたりしたときに噛み合わせの調整がうまくいっていないと、過剰な力がセラミック歯にかかってしまい、その圧力が年単位で続くと割れたり削れたりしてしまいます。

■歯ぎしりと食いしばりの癖があると寿命を短くしてしまう
歯ぎしりは、上下の歯を噛んだ状態で左右にスライドさせることをいいます。食いしばりは、噛んだ状態で動かさずただ圧力を強くしていくことをいいます。
いずれもセラミック歯に過剰な力が加わるので、劣化の原因になるのです。

■歯周病があると寿命を短くしてしまう
詰め物・被せ物の中で虫歯が進行することを二次虫歯、または二次カリエスといいます。
セラミック歯は、銀歯と比べると、「変形しにくい」「元の歯にくっつけるセメントが丈夫」という特徴があります。そのため、セラミック歯の場合は、詰め物・被せ物の中に虫歯菌が入りにくく、二次虫歯を起こしにくいのです。

しかし、歯周病は別です。歯周病は歯茎の病気で、悪化すると歯を支えている歯槽骨(しそうこつ)という骨を溶かし、抜歯が必要になります。
歯を抜くことになってしまっては、当然ですが、セラミック歯が丈夫でも寿命は尽きてしまいます。

セラミック歯の寿命を長くする方法

セラミック歯を長く使うには、寿命を縮める行為をしないようにしましょう。具体的には次の通りです。
●噛み合わせを正常にする
●歯ぎしりと食いしばりの癖をやめる
●歯周病を起こさないようにする

噛み合わせは歯科医でないと分からないので、セラミック歯を入れた後に違和感があったら、すぐに歯科クリニックを受診してください。
歯ぎしりと食いしばりは癖であり習慣なのですが、治療法があります。こちらも歯科クリニックに相談してください。

歯周病予防も歯科医に力を借りたいところですが、自宅でできることもたくさんあります。
●歯ブラシを毎食後行う
●歯ブラシだけでなく歯間ブラシやデンタルフロスを使う
●食生活の改善
●禁煙
●ストレスを解消する
これらはいずれも歯周病予防として歯科医が勧めている内容です。

そもそもセラミック歯とは
そもそもセラミック歯とは

セラミック歯の寿命を延ばす方法をみてきました。最後に「そもそもセラミック歯とは」について解説します。セラミック歯の基礎情報です。
セラミック(セラミックスともいいます)は、人工歯の名前ではなく、素材の名前です。素材としてのセラミックの定義は「焼いて硬くしたもの」となります。
陶器や磁器がセラミックであることを知っている人は多いと思いますが、実は縄文式土器やガラス、耐火レンガもセラミックです。
研究者たちがセラミックの開発を進めたところ、どこまでも硬く強くなることが分かり、金属の代わりに使えるまでになりました。人工歯だけでなく、自動車部品や半導体製造部品にも使われているのです。

セラミック歯のメリット

セラミックは、色を自在に変更できるため、患者さんの歯の色に近づけることもできます。そのため、審美性に優れた人工歯をつくることができるのです。
また、セラミック歯は菌を付着させにくい性質があるので、銀歯よりは歯周病を起こしにくいといわれています。ただ、セラミック歯にすれば歯周病にならないわけではないので、ケアは継続してください。
セラミック歯は、医療保険を使うことができないため、銀歯よりも治療費が高くなってしまいます。
しかし、性能や見た目で、銀歯より劣るところはないといっても良いでしょう。「高いだけの価値はある歯」といえます。