歯周病で失った健康な歯茎…取り戻すことはできる?
2018年01月20日 (土)
歯周病で失った健康な歯茎…取り戻すことはできる?

歯周病は気づかないうちに進行していきます。患者さんが症状を自覚したときにはかなり進行していることが多く、歯が抜けてしまったり、歯茎が下がってしまっているなどの影響もでています。今回は歯周病の症状や病態と治療方法について説明していきます。

歯周病とは

歯周病とはその名前の通り、歯の周囲組織へ影響を及ぼす病気です。歯周病患者数は約331万人(厚生労働省調べ)とされていますが、日本の歯科医院受診率は諸外国に比べて低く、多くの人が十分な治療を行っていないと推測できます。最近では歯周病が気になる人向けの歯磨き粉や歯ブラシも市販されていますが、歯周病患者数についてはまだまだ油断できない状況です。年齢別で見てみても20代で7割、30~50代では8割、60代では9割の人が歯周病を罹患していると言われています。

■歯周病は生活習慣病
今まで歯周病は、歯科疾患の一つとしか考えられていませんでした。しかし、歯周病は生活習慣病であるという見解が近年多く見られます。昔は磨き残しが原因で歯周病になると言われていましたが、研究の成果で別の理由でも歯周病が起きるということがわかりました。

■歯周病の症状
歯周病の症状について紹介していきます。
歯周病は発症してすぐに歯周病になるわけではなりません。まずは歯肉炎という症状を発症します。歯肉炎は歯磨きをしたときに血が出ることが特徴的です。歯肉炎をただ血が出ているだけと放置してしまうと歯周炎へと波及していきます。歯肉炎と歯周炎は似たような言葉ですが、大きく異なります。

歯肉炎は歯茎に限局した炎症でしたが、歯周炎になると顎の骨を溶かしていきます。歯肉炎と歯周炎を合わせて歯周病といいます。歯周病になり顎の骨が溶けていくと歯がグラグラとしてきます。歯は顎の骨に支えられていて、骨が少なくなると歯を支えるものがなくなるので歯がグラグラしてくるのです。また、腐敗臭のような悪臭を発生させるのも歯周病の特徴です。歯がグラグラしたり、悪臭がしたら歯周病を疑いましょう。ちなみに、成人で歯が抜けてしまう原因の第一位は、歯周病です!

歯周病の原因
歯周病の原因

歯周病には様々な原因があります。
1) 磨き残し
歯周病の原因の一位は磨き残しです。歯磨きのしにくい部位に磨き残しがあった場合、プラークが停滞し歯周病の原因菌が増えます。歯周病原因菌は歯と歯茎の間にある歯周ポケットという溝にいます。歯周ポケットは歯ブラシで清掃することができますが、歯磨きの仕方が正しくできていないと、歯周病菌を除去することができません。
2) 糖尿病
糖尿病の患者さんは歯周病になりやすく、逆に歯周病を罹患している患者さんは糖尿病を発症しやすいです。これは研究で証明されていて、歯科業界も医科業界も課題として注目しています。
3) 喫煙
タバコに含まれる物質は歯茎の血管を収縮させる効果があります。歯肉炎のときに見られる出血の症状が見られにくくなるので歯周病の発見が遅れます。結果として治療を始めるのも遅くなるので歯周病へ影響を及ぼします。
4) 白血病
白血病は、白血球の減少が特徴的です。白血球は私たちの免疫機能に関係しています。歯周病菌は常に歯周ポケットの中に存在していますが、身体の免疫機能により活動が制限されています。白血球が減少することで免疫機能が落ちるので、歯周病菌の活動が活発になります。
5) 薬の副作用
歯周病には薬の副作用で起きるものもあります。薬の中でも免疫抑制剤や高血圧の患者さんが服用しているカルシウム拮抗薬などの副作用で歯茎が腫れることが報告されています。

歯周病に成ると歯茎が下がる

歯周病になったときは顎の骨が溶けていきます。顎の骨が溶けると全体的に歯茎が下がっていきます。歯茎が下がると歯の根っこが露出してしまい、それに伴い知覚過敏症や根っこに虫歯を作ってしまうのです。歯の根っこは象牙質という組織で構成されていて、象牙質は神経とつながっているので歯の根っこが露出すると、知覚過敏症を発症します。また象牙質はエナメル質に比べて酸に弱く虫歯になりやすいので、歯の根っこには虫歯がよくできてしまうのです。
歯周病によって歯茎が下がってしまうと歯と歯の間が開いたように見えてしまったりして見た目が悪くなります。歯茎が退縮することを歯科用語で「歯肉退縮」と言います。歯肉退縮は歯周病患者さんの口腔内によく見られ診断基準の一つです。

歯茎をもとに戻すには?

歯医者さんの行う治療法としては、まず歯周病の進行を止めるために歯磨きの仕方や歯のクリーニングをします。歯磨きは毎日自分で行うものなので、徹底して教える歯科医院が多いようです。
しかし、これだけでは歯茎が元通りにはなりません。歯周病は基本的に進行を止めるのが治療です。歯科医院で歯周病を止めるための治療を行うと、汚れがなくなり歯茎が引き締まるので逆に歯茎が下がったような印象を受けてしかもしれません。
もし、歯茎を歯周病になる前のような状態に戻したい場合は、歯周外科処置を行います。歯周外科処置には再生治療として歯茎の組織を増やす薬を歯茎の中へ入れる処置や、目立たない他の歯茎を移植する方法もあります。これらは熟練の技術や経験が必要になるので、出来るだけ歯周病治療に明るい歯科医院を選ぶようにしてください。